外国人美容師とは
外国人美容師とは、外国人で、日本の専門学校を出て、美容師免許を得て、美容師をしている人のことです。
日本人美容師は、ニューヨーク、上海、カナダなど、沢山の地域で出会います。
しかし、日本の美容室で外国人の美容師に出会う機会はありますか?
実際は、あまりないのではないでしょうか。
この理由ですが、もしかすると「外国人だから美容師免許を取得できないからあまりいないのでは?」と思われる方も多いかもしれません。
でも実際はそうではありません。その理由につき、解説します。
外国人美容師の日本の美容師免許取得は可能か?
上記の通り、外国人でも日本の美容師免許を取得することはできます。日本の美容師免許は日本国籍限定でなく、国家試験に合格することで取得ができることになっているからです。
外国人が美容師として就労できる在留資格とは
しかし、外国人の場合、日本人とは違い、資格を取得した後に実際に日本で就労するとなるともうワンステップ必要です。
これが、外国人は入管法上の条件を満たした在留資格がないと就労できない、というハードルです。つまりは在留資格(ビザ)の問題です。
例えば、以下のような在留資格であれば、美容師免許があれば問題なく日本で美容師として就労は可能です。
1日本人の配偶者等
2永住者の配偶者等
3永住者
4定住者
これらの資格は就労できる職種に制限がありませんので、美容師以外にもネイリストやエステティシャンをはじめとした美容業界の職種で働くことも可能です。
従来は美容師免許を取得しても就労ビザは取れなかった
では、上記のような就労に制限のないビザを持っていない方はどうしたらいいでしょうか?
考えられるのが、「技術・人文国際業務ビザ」への在留資格変更(ビザ変更)です。
しかし、一般的なカット作業は外国語が必須な作業ではないため、原則的に「技術・人文国際業務ビザ」への在留資格変更は認められませんでした。
また、「技能」という資格もありますが、これも「中華料理」や「イタリアワインソムリエ」など、外国特有の技能を使う業務でないと認められませんので、在留資格変更(ビザ変更)は困難でした。
そのため、水面下では美容専門学校に多額の費用をかけて入学したのに、日本の美容室で働けない、という問題が多発していたのです。
美容業界の人手不足が外国人美容師就労可能の後押しに
しかしながら、美容業界は慢性的な人手不足です。
そのため、政府もついに法改正で外国人美容師が就労可能になるように法改正に動き出しました。それがこの記事です。
(時事通信記事jiji.comより引用)
政府は18日、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)を首相官邸で開き、日本で美容師免許を取得した外国人留学生が特区で就労できるようにする方針を決めた。
訪日観光客や在留外国人らへの対応の他、日本の美容技術を海外に伝える担い手になることなどを期待する。
外国人留学生は、日本の専門学校で2年間学び、国家試験に合格すれば、美容師免許を取得できる。ただ、美容師免許は就労可能な在留資格に該当しないため、現在は美容師として日本で働けず、母国に帰国する人が多いという。
実際に付与される在留資格(ビザ)は予想にすぎませんが、過去の例からいくと、入管法の改正を要しない「特定活動」になるかと思います。
ただ、監理団体を置く案なども出ているようで、そうなると、また天下り先が増えることになり、よくないように思います。
特に京都や都内の美容室に海外からくる観光客が多い(※記事執筆時点ではコロナウィルス問題で大幅に観光客は減少していますが)ため、英語を話せるスタッフが必要です。
大阪だと、中国語対応の美容室やエステサロンも多いです。
ですので、この改正が決まれば、近々外国人美容師が日本の美容室で活躍できる日が来るかもしれません。
一方で、人材不足だからといって、就労できないビザの方を雇った場合、本人は強制送還になりますし、雇用側は懲役や罰金刑などとても重い罪に科せられますので、外国人美容師を雇用する際は注意してください。
まとめ
外国人美容師の就労は入管法を変えて就労ビザ取得が全国どこでもできるようになる、という話ではありません。
今後の動向次第ですが、東京や大阪の大都市の国家戦略特区からまずは始まると予想されます。
美容学校を出たのに就労できないという問題と美容業界の人手不足の解決の一助となるとは思いますので、この改正がうまくいくといいですね。