Q.私は、大阪に在住している中国人です。民泊新法(住宅事業法)の開始に合わせて、簡易宿所、特区民泊、民泊新法の届出のいずれかで開業し、経営管理ビザを取得したいと思っています。
集客については、AIRBNBや途家、自在家等の民泊仲介事業者の利用を考えています。
私のような場合、民泊事業で経営管理ビザを申請して取得することは可能でしょうか。またその注意点は何でしょうか。
A.まず、日本で民泊事業を行うには、簡易宿所、ホテル、旅館等の旅館業法に基づく許可、国家戦略特区法に基づく民泊許可、住宅宿泊事業法に基づく届出のいずれかで何らかの合法的ライセンスを得ていることが必要です。
無許可での民泊営業は100万円以下の罰金や6ヶ月以下の懲役になることがありますので、絶対に行わないようにしてください。
上記の3つのうち、いずれかのライセンスを得ていれば、経営管理ビザを取得できる可能性はあります。
ただ、民泊事業で経営管理ビザを取得する場合、他の事業とは異なった注意点があります。
(注意点)
1.許可が下りるまで時間がかかる
例えば、貿易業では特に行政の許可がなくてもできるケースは多いですし、飲食業や古物商等では、2ヶ月程度の準備期間を見ておけば、事業を開始できる場合は多いです。
しかし、例えば簡易宿所の場合、物件の取得から基礎調査、建築計画書の提出、許可の取得まで、ということになると、通常半年程度要することが多いです。
そうすると、短期ビザで来日して準備をしていても、在留期限が来てしまい、日本で起業の準備が出来ず、代理人に頼んだりしないといけないことが多くあります。
また、近時は民泊事業を開始する気がないのに、日本在留のため日本でダミー会社を作って経営管理ビザを取得する外国人が増えたため、民泊事業での経営管理ビザの審査は厳しくなり、審査期間も長くなる傾向にあります。
従って、入管業務専門の行政書士と相談しつつ進めていくことをおすすめします。
2.入管から従業員(スタッフ)の雇用を指導されることが多い
例えば、レストランやマッサージ業では、経営者の業務と接客等の現業作業は区別することが求められます。
1名の経営管理ビザ申請の場合、フロント業務や清掃業務を自分で行うような場合は、そのような現業業務を経営者が行わないよう、スタッフの雇用を指導されることが多いです。
ですから、ホテルや旅館等を買収して一定の規模以上の旅館業を行う場合はいいですが、小規模の古民家、一軒家、ワンルームマンション等での民泊事業の運営を考えている方は、ビザの申請の際に注意が必要です。
3.会社設立の際の事業目的に注意する
会社設立の際の事業目的に記載のない事業については行うことができません。したがって、定款の目的には「旅館業法に基づく旅館業」「住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業」等の記載を入れるようにしてください。
近時は、中国人観光客の急増に伴い、民泊事業を立ち上げ、経営管理ビザを取得するケースも増えています。
しかしながら、民泊事業はライセンス取得後も変更等があれば変更届の提出が必要です。また、周辺住民との相互協力がないと運営が困難になります。
ですので、「儲かりそうだから」と安易に参入するのではなく、しっかりとした事業計画、資金計画を立て、魅力ある宿泊施設を作ることを心がけてください。