台湾有限公司の日本支店設立が増加中

近時、タピオカブームや台湾人気も手伝って、台湾企業の日本進出が増加傾向にあり、それに伴い、台湾企業の日本支社の設立(台湾資本の日本の会社設立)や日本支店設立も増加傾向にあります。

法人の分類としては、台湾の股份有限公司=日本の株式会社、有限公司=合同会社、分公司=日本支店、のようなイメージです。

業種としては、以前から、飲食店や、アパレル、貿易関連が多いイメージです。最近は、民泊事業のほか、ホテル事業や簡易宿所などの事業を行うケースも多くなっています。

台湾有限公司の日本支店設立方法

では、台湾企業が日本支店を設立する場合や日本支社を設立するには、どうしたらいいでしょうか。

①日本支店の所在地を決定する

例えば、台湾企業が日本支店の設立をする場合、まずは、本店を置く予定の場所の不動産を決めることがスタートです。

台湾の方は、中国人の方とは異なり、3か月以内の短期ビザで日本と台湾を行き来できます。そのため、日本語が不自由なくできる台湾人の方であれば、不動産屋で気に入ったオフィスを見つけること自体は難しくないかもしれません。

しかしながら、事実上、台湾法人や短期滞在ビザで来日している台湾人との事務所の賃貸契約に消極的な貸主が少なくありません。

ですから、よい不動産が見つかっても、契約を断られたという台湾人の方も少なくありません。

ですから、基本的に不動産探しには時間がかかると思っていたほうがいいです。この点、簡単に考えている台湾の方は多いのでご注意ください。

特に、タピオカドリンク店などは小さな店舗でもできますが、その分、立地の良さが命となります。

ですから、日本進出を成功させたいと思ったら、立地の良い場所の不動産をいかに早く押さえることは重要となります。

②事業目的の確認

日本支店設立の場合は、日本の子会社設立の場合と異なり、親会社と同じ事業しかできません。

例えば、タピオカドリンクの店や台湾料理店が日本進出するのであれば、日本支店を設立しても、本社の事業であるピオカドリンクの店や台湾料理店しかできません。

逆に言うと、日本でプラスチックの製造業をやりたくても本社がその事業を行えない場合は日本でもそれを行うことはできません。

③台湾有限公司の日本支店の代表者の選定

日本支店の代表者は、外国法人である台湾の親会社の代表者である必要はありません。

ただ、日本支店の代表者の内、少なくとも、1名は日本に居住する者である必要があります。

法改正で日本子会社を設立する場合については代表取締役のうち少なくとも1名が日本の居住者である必要はなくなりましたが、日本支店は取り扱いが異なり、日本支店の代表者のうち1名は日本居住者であることが条件なので、ご注意ください。

④宣誓供述書(声明書)の作成

日本の会社と台湾の会社では登記内容が違います。そのため、日本支店の設立登記に必要な事項を本社の代表者が宣誓供述し、書面化します。

この宣誓供述書の作成は原則としては台湾の公証人のところで行います。

ただ、どのような内容が必要かは会社組織によっても異なりますので、専門家と相談しつつすすめていくことをおすすめいたします。

なお、台湾の印鑑証明書は確認書類として使えますか?という質問をよく受けますが、台湾の印鑑証明書は使用可能です。

中国の場合は、直接の印鑑証明制度がないので、声明書で印鑑証明書を作らないといけないので、台湾のほうが楽ですね。

⑤台湾法人日本支店の設立登記

宣誓供述書を作成したら、日本支店設立の登記を事務所を設置する住所地を管轄する法務局にて登記申請します。申請後は書類に不備がなければ、1~2週間で手続きが完了します。

⑥日本支店設立後の各種届出

日本支店を設立した後に、税務署、労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所への届出等が必要です。

特に、税務署への届出は遅れると税法上の特典がなくなるものもありますので、早めに提出してください。

⑦派遣外国人の在留資格(ビザ)の申請

本国から設立後の日本法人にその代表取締役など外国人を派遣する場合、在留資格の取得手続きをします。

台湾の方は短期ビザを申請しないため、ビザ申請後はすぐに結果が出るものと思っている方もいますが、実際はそうではありません。

申請準備や入管での審査に時間がかかるので、設立後にあわてて書類を準備するのではなく、日本支店設立手続きと並行して準備を進めます。

⑧ビザが許可、事業開始

通常1~3ヶ月の審査期間を経てビザが許可されたら、事業を開始します。

台湾有限公司の日本支店設立の特有の問題点

台湾有限公司の日本支店設立の場合に、台湾本社の本店所在地や、代表者の住所の記載につき、どうしたらいいか?ということに迷うことがあります。

登記簿では、記載は様々であり、以下のように、4つの記載がありました。

①中華民国台湾省桃園市OO

②中華民国高雄市OO

③台南市OO

④台湾桃園市OO

現在では、④台湾桃園市OO・・・というように登記されるようになっているようです。

台湾の方のアイデンティティを考えると、特に①中華民国台湾省桃園市OOは中国の一部のような印象を受けますので、印象はよくないです。

また、③のように、「国ではない」ということを前面に出すような表記も望ましくないと思います。

そのため、外交上の理由があるとはいえ、以前はあまりよくない対応だったかと思います。

現在では「台湾」という登記は可能ですので、個人的には良い傾向かなと思います。

当事務所のサービス・費用

当事務所では、日本進出をお考えの中国の方のため、外国会社の日本支店設立に必要な手続きを代行致します。

日本の拠点選択・拠点設置に必要な要件、日本進出の時期、外国人の方のビザの問題などの日本支店設置までに検討すべき事項の確認から、必要書類のご案内、書類作成・申請手続きまで、日本支店設立に必要な手続きをサポート致しますので、安心してご依頼ください。

(標準費用)

1.台湾法人日本支店設立代行サポート:20万円+税

2.登録免許税:9万円

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