中国人のお客様からの相談で、未成年者の子供を代表取締役に就任させて、会社設立し、中国の会社の日本進出の拠点にしたい、というケースがあります。
この場合、中国人の未成年者の子供は日本の株式会社の代表取締役に就任することは可能なのでしょうか?
また、経営管理ビザは取得できるのでしょうか?
この点については、まず、日本人であっても外国人であっても、未成年が代表取締役に就任することは可能です。
但し、その場合、未成年であるために原則的に父母の同意書等の追加書類が必要になります。
もっとも、代表取締役の就任には就任承諾書に実印を押印し、「印鑑証明書」を添付する必要があります。
そして、印鑑証明書を作るためには、15歳以上であることと、外国人の場合は、日本に住所があり、4カ月以上の在留資格を有していることが必要となります。
そのため、15歳未満の子供は日本の会社の代表取締役に就任できません。
では、例えば19歳の子供の場合はどうでしょうか。
日本に長期のビザがあり、15歳以上であれば、印鑑証明書の取得は可能です。
そして、中国の成年年齢は18歳ですので、中国では成年者です。
一方で、日本の場合は2019年11月現在では、成年年齢は20歳と民法で定められています(※この民法が改正され、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わります。これによって、2022年4月1日に18歳、19歳の方は2022年4月1日に新成人となります)。
そのため、日本の民法上は未成年のように思えますので、未成年なのか成年者となるのか迷ってしまいます。
一体どちらが正しいのでしょうか?
答えを言ってしまいますと、この場合、法の適用に関する通則法が適用され、本国法である中国法に従い、19歳の中国人は成年者とみなされます。
※参考:法の適用に関する通則法第4条条文
(人の行為能力)
第四条 人の行為能力は、その本国法によって定める。
2 法律行為をした者がその本国法によれば行為能力の制限を受けた者となるときであっても行為地法によれば行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時そのすべての当事者が法を同じくする地に在った場合に限り、当該法律行為をした者は、前項の規定にかかわらず、行為能力者とみなす。
3 前項の規定は、親族法又は相続法の規定によるべき法律行為及び行為地と法を異にする地に在る不動産に関する法律行為については、適用しない。
したがって、19歳の中国人は、父母の同意を要することなく、日本の会社の代表取締役に就任できます。
また、経営管理ビザの申請においても、成年者であることは法律上の要件になっていませんので、経営管理ビザの取得ができる可能性があります。
もっとも、経営管理ビザの場合、経営能力があるかどうかが審査対象になりますので、社会経験が一般に乏しい19歳の外国人が経営管理ビザを取得する場合、ややハードルは高いといえます。
まとめると、中国人の子供が19歳の場合、未成年者の代表取締役への就任は可能。ただし、経営管理ビザの取得はハードルが高い、といえます。
そのため、このような場合は、ビザ専門の行政書士等と相談しつつすすめるようにしたほうが確実かと思います。
当事務所では、中国人の会社設立、経営管理ビザ申請を数多く扱っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。