日本法人の公告方法とは
Q.当社は、中国の上海の有限公司です。今回日本に進出し、日本子会社を設立したいと考えています。日本子会社の設立にあたり、日本の専門家から 「日本法人の公告方法はどうしますか?」と言われました。
日本法人の公告方法とは一体何でしょう か?また、また、日本法人の公告方法は具体的にどうすればよいのでしょうか?
A. 日本法人の「公告」という概念は中国の方にはちょっと聞き慣れなくて、イメージしづらいかもしれませんね。
会社の公告とは、会社から株主、債権者等の利害関係者そ の他第三者に対する公的な通知のことで、会社法に定められた一定の事項を公告しなけれ ばなりません。
株式会社においては、公告方法が登記事項として定められているため、すべての株式会社の登記簿謄本には当該会社の公告方法が記載さ れています。
一方、合同会社においては会社の公告は義務ではありませんので、合同会社を設立することにより公告を省略することで公告の手間や費用を節約することができます。
そして、公告の方法としては、以下の3つの方法があります。
① 官報に掲載する方法
官報とは国が発行している機関紙のことです。
この方法が一番簡便なケースが多いので、多くの会社は公告の方法を「官報」としています。
② 時事に関する事項を掲載する日刊新聞に掲載する方法
日本では、日本経済新聞等がこれにあたります。しかし、
1回の掲載が50万円程度かかりますので、費用面から大会社以外はおすすめできません。
③ 電子公告を行う方法
最近では電子公告を採用している会社を公告方法として採用している会社が多くなってきています。
この方法ではインターネットのぺ-ジを使ってするため、自前でWEBサイトを用意すれば、前2つの方法に比べて電子公告では高額な費用がかかりません。この点は電子公告のメリットです。
しかし、貸借対照表の全文を5年間継続して掲載しないといけない点がデメリットとなります。
ここで気をつけなければならない点は、WEBサイトで公告するということは、一般人でも日本法人のサイトにアクセスすると、簡単に業績を閲覧できてしまう点です。業績が良ければ自社サイトで公開しても問題ないという考えもありかと思いますが、各種事情で業績が悪化した際には、信用が低下し、あなたの会社のイメージは悪くなってしまいます。
以上をふまえ、どの公告方法がいいかをまとめます。
まず、「費用を全く気にしない」というのであれば、「日刊新聞への掲載」でいいです。ただし、前項目でも申しましたとおり、掲載費用はかなり高い(通常50万円以上)になりますので、中小企業の場合、普通は公告にそこまでお金をかける理由はありません。したがって、現実的な選択方法ではないと思われます。
次に「決算書を見られても構わないが、費用は極限まで抑えたい」というのであれば、自社サイトのホームページに掲載する方法が良いと思います。この方法であれば、レンタルサーバーの固定費用、ドメインURLの維持費用ぐらいで足ります。
ただし、掲載後5年間の公開が義務付けられているので、URLを削除しないように気をつけてください。もしURLが変更になる場合は、登記変更も行ってください。登録免許税は3万円かかります。
最後に、「多少の費用負担はやむを得ないが、あまり公告に費用はかけられない」という場合(ほとんどの中小企業はこのケースです)、「官報」での公告がおすすめです。官報での公告費用は、毎年5万円程度かかります。
以上のように、一般的には「官報」での公告はおすすめですが、会社の事情によっては、日刊新聞や電子公告も検討してみてよいかなと思います。