中国人の方同士で事業に共同出資し、利益が出たら分配する、という形態でビジネスをやりたい、という相談はよくあります。
例えば、日本の民泊事業に李さんと王さんと鄭さんの3人で1000万円ずつ出資し、その他の知り合いにも出資を募り、利益が出たら配当を出すようなケースが典型的事例です。
しかしながら、このようなケースでは、金融商品取引法により、原則として「第2種金融商品取引業」の登録が必要です。
金融商品取引法(以下法)2条2項5号においては、
①組合契約・匿名組合契約・投資事業有限責任組合契約・有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権、その他の権利のうち、
②出資者が出資または拠出した金銭を充てて行う事業から生じる収益の配当または財産の分配を受ける権利で、
③除外事由に該当しないもの
を、有価証券とみなす、としています。
これを一般的に集団的スキーム持分による権利と言い、事業に投資するファンドとして、有価証券でないものを有価証券とみなすことで有価証券と同等の規制を及ぼそうとしています。
「だったら【第2種金融商品取引業】の登録をすぐします!」というお客さんもいるのですが、「それはほとんど無理」といわざるを得ません。
第2種金融商品取引業の登録には最低限「金融商品取引業の知識及び経験」がある者を役員とするか、常勤で雇用する必要があります。
しかし、そのような人物は数が少なく、まして外国人のみで作った会社の場合、ほぼそのような方を見つけるのは困難です。
また見つかったとしても、よほど労働条件が良くない限り、すぐに今の職場を辞めて転職してくることは考えにくいです。
ですから、ほとんどの場合に、第2種金融商品取引業の登録要件を満たすことができません。
一方で、無登録でこのような事業を行っていることが発覚すると、金融庁から金融商品取引業の登録をするよう警告が来たり、場合によっては刑事事件になることもあります。
このことから、事業の設計として、事業ファンドの扱いを受けないようなものにする必要がありますので、ご注意ください。
当事務所では、ファンド組成についてのご相談を随時受け付けておりますので、事業スキームの合法性等につき、相談ご希望の場合は、ご予約のうえ、ご相談ください(※相談費用:1時間以内 1万1千円)