Q.私は、来日して8年目の大阪在住の中国人です。 外国人ですが、日本で自分の会社を設立して、日本の中古車や電化製品を中国へ輸出したいと思っています。日本で会社を設立する以外に、外国人はどのような許可が必要なのでしょうか?
A. 以下の通り回答します。
必要な許可は「古物商許可」
日本で中古品を仕入れて海外に輸出する場合は、「古物商許可」が必要になります。古物商許可が必要なのは、中古品を海外に輸出する場合だけではありません。その他、下記のような場合にも古物商許可が必要となります。
1 古物を買い取って売る
2 古物を買い取って修理して売る
3 古物を買い取って使える部品などを売る
4 持ち主から依頼を受けて、自分の店舗などで古物(中古品)を売り、売った後に手数料をもらう(委託販売)
5 古物を別の物と交換する
6 古物を買い取ってレンタルする
7 国内で買った古物を国外に輸出して売る
なお、これらの行為をインターネット上で行う場合も古物商許可が必要です。
古物商許可を受けるためには、営業所を管轄する警察署を経由して都道府県の公安委員会に対して古物商許可申請をしなければなりません。
古物商許可等の行政の許可については、「こっそりやっていてもばれないだろう」と思っている中国人の方もいますが、日本の警察は無許可で事業を許可の必要な事業を行っていることがわかれば、刑事事件として捜査します。
ですので、許可が必要な業種については許可を取得してからスタートすることが絶対条件であることを忘れないで下さい。
まずは申請書類の提出先を確認
では、古物商許可の取得のため、まず初めにしなければならないことは一体何でしょうか?
必要なのは、まずは古物商許可申請書類の提出先の確認です。
古物商許可は各都道府県の公安委員会(東京都のみ警視庁)に対して申請をするということになっていますが、実際に書類を提出するのは実は所轄(地域の警察署)の生活安全課に対して行います。
ここで多くの方は、どこの警察署でもいいと思って大きな警察署に行って管轄が違うからといわれ、無駄な時間を使ってしまいます。
しかし、近くの警察署や大きな警察署であればどこでもいいというわけではないのです。
古物商の提出は必ず管轄内の警察署に申請する必要があります。
管轄については、インターネットで検索可能ですし、電話で確認も可能です。
このとき注意すべきは、ご自分の住所地が管轄となるのではなく、古物商の営業所の場所を管轄する警察署が管轄となることです。
ですから、住所地と営業所が違う場合はご注意下さい。
管轄の確認が終わったら、まずは管轄の警察署へ電話予約をして出向きましょう。
警察署では、申請に必要な用紙一式がもらえます。
古物商許可に必要な書類の取寄せ
次に必要なのが、古物商許可に必要な書類の取寄せです。
取寄せが必要な書類には主に以下のようなものがあります。
(古物商許可申請の必要書類・請求物リスト)
①住民票
お住まいの市区町村で簡単に取得することができます。
必ず本籍地が記載されているものが必要となります。
②市区町村発行の身分証明書
「身分証明書」と言っても免許証や保険証のようなものではありません。
ご自身が「本籍地」を置いている市区町村で発行される証明書ですので、請求先は本籍地の市町村役場です。
本籍地が遠いような場合は、郵送などの手段を使って取寄せることになりますので、例えば大阪在住の方が東京に本籍がある場合でも東京の区役所に出向く必要はありません。
なお、中国人の場合は、外国人なのでこの「身分証明書」は発行されませんので、提出は不要です。
③登記されていないことの証明書
登記されていないことの証明書は「成年被後見人や被保佐人に該当しないこと」を証明する書類です。
申請先は各都道府県の法務局本局になりますので、各都道府県の法務局本局で登記されていないことの証明書を申請してください。
郵送での請求も可能です。郵送の場合は各都道府県の法務局本局ではなく、東京法務局後見登録課へ郵送請求します。
※郵送の場合の請求先
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15
九段第2合同庁舎4階
東京法務局民事行政部後見登録課
なお、登記されていないことの証明書は前述の身分証明書とは違い、外国人にも発行されますので、取得は必要です。
④土地・建物の登記簿謄本
土地や建物の登記簿謄本は 古物商の営業所として使用する場所が、自分や親族の名義である場合に求められることが多いです。
⑤登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
法人(会社)で古物商許可を申請する場合には必ず必要です。最寄の法務局で入手して下さい。
以上が古物商許可に必要な書類で、請求が必要なもののリストです。
古物商許可に必要な書類を作成する
そして、書類の作成です。
(古物商許可で作成が必要な書類)
①古物商許可申請書
→ 古物商許可に必要な申請者の名称、所在地、取り扱い品目等を記載します。
②5年間の略歴書
→職種を具体的に記載し、経験から古物を扱う能力があるかを審査されます。
③欠格事由に該当しない誓約書
→以下のような方は古物商の欠格事由に該当し、古物商の許可は取れません。
成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
禁錮以上の刑や、古物営業法違反、背任、遺失物・占有離脱物横領、盗品等有償譲受け等の罪で罰金刑に処せられ、刑の執行後5年を経過しない者
住所の定まらない者
営業にについて成年者と同一能力を有しない未成年者
④URL使用権限を疎明する資料
→ホームページを利用して古物の売買を行う場合に必要です。URL等の情報を記載します。
⑤賃貸借契約書の写し
→営業所が賃貸の場合に提出します。
⑥使用承諾書
→警察署の管轄によっては求められることがありますので、警察署の指示に従ってください。
⑦中古車の保管場所証明資料
→中古車を取り扱う場合に必要です。
⑧営業所在地図
⑨各種申立書 等個別のケースにより必要な資料
→適宜
警察署に古物商許可申請を行う
全ての書類が揃いましたら、必要部数を用意し、提出します。
必要部数は各都道府県によって違いますので、初めに警察署に行かれた時に確認してください。
なお、古物商許可申請の審査料は1万9千円です。不許可の場合も返金はされませんのでご注意ください。
許可申請の審査料(19,000円)が用意できましたら、警察署へ予約の電話を入れます。
審査料は都道府県の証紙で支払いますが、警察署内で売っていることがほとんどです。
書類を提出しましたら、1カ月前後で許可の通知が来ます。大阪府の場合、40日が標準処理期間となります。
当事務所のサポート
なお、当事務所の古物商フルサポートでは、上記のほとんどの作業をお客様に代わってさせて頂きます。
初めから我々行政書士のようなプロに依頼する場合ですと費用はかかりますが、中国人オーナーの方は委任状への押印等簡単な手続きのみで古物商許可が取れます。
中国人のオーナーにとって一番重要なのは、会社設立当初は、まずは「営業」であるかと思います。
ですから、面倒な古物商許可申請を行政書士ににお任せ頂き、中国人オーナー様には仕入先や売上確保のために労力をお使い頂きたいと当事務所では考えています。
また、このあたりはネットの情報だけではわかりにくいですが、警察署では少しでも疑問をもたれるといろいろと事情を聞かれます。追加の書類を提出するようにと言われることもあります。行政書士にご相談いただければ、この点の不安も減るかと思いますので、ぜひ一度ご検討下さいますようよろしくお願いいたします。
参考 報酬額( 許可申請1件について )
個人での許可申請書の作成 | 4万円+消費税+実費 |
法人での許可申請書の作成 | 7万円+消費税+実費 |
申請書の提出代行 (提出代行は大阪近辺のみ) |
1万円+消費税+交通費 |
※例えば、大阪府内に営業所を設ける個人の方の古物許可申請で、警察署へ提出の代行までする場合は、
4万円 + 1万円 + 申請費用19,000円 + 交通費+税
となります。
(「住民票」「身分証明書」「登記事項証明書」をご自身で取得できない場合の取得代理につきましては別途報酬となります。)