中国人の親の呼び寄せはなぜ必要なのか
経営管理ビザや技術・人文国際ビザ等の就労ビザで日本に長期在留している中国人の方で、中国にいる中国人の親を日本に呼び寄せて一緒に暮らしたい、生活の面倒をみたいという相談は多いです。
そして、この親の呼び寄せに関するビザ(老親扶養ビザ)の相談はほとんどが中国人で、欧米諸国の方からこのような相談を受けることはほとんどありません。
これは、欧米では子供が成人したら独立するという考え方が基盤にあるのに対し、中国では子供が親の面倒を見るのが当然という文化的な相違に基づくと考えられます。
なぜ中国人の親の呼び寄せのビザ申請は難しいのか
このいわゆる「老親扶養ビザ」は中国人の方から難しい、許可が下りにくいと言われますが、それはどうしてなのでしょうか。
まず、一般に、就労ビザを持っている中国人の配偶者や子供(実子、養子)は、日本に長期在留するには「家族滞在」の在留資格が与えられます。
一方で、親の長期在留のためのビザ(在留資格)というものは形式上はありません。一応親族訪問の短期滞在ビザで、最長90日の日本滞在は認められていますが、長期滞在はできません。
これは、海外にいる高齢の親を自由に日本に呼べるとすれば、当然一定の社会保障も行わなければいけませんので、国家財政が破綻しないようにすることを考慮したものと考えられます。
しかし、どんな場合でも一切中国人の親を日本に招へいすることを認めないとすることは、人道上問題のあるケースもあります。
そこで、日本の入管も一定の場合には親を日本で扶養する目的のビザを認めています。
この場合の在留資格は「特定活動」となります。
老親扶養ビザの条件はどのようになっているのか
いわゆる老親扶養ビザが許可されるための明確な基準というのは入管法上明文の規定がなく、定かではありません。
しかしながら、一般に、おおむね次のような条件を満たすと許可される可能性があります。
① 親が高齢(約70歳以上)であること。
② 本国に親を扶養する親族がいないこと。
③ 親の経済面が厳しく、人の援助がないと生活できないこと。
④ 日本に呼び寄せようとしている人が、実子であること。
⑤ 日本に呼び寄せようとしている人が、親の生活費等の経費を負担できる経済力があること。
⑥ 日本に呼び寄せようとしている人が、納税義務を果たし、かつ法令違反をしていないこと。
ただし、上記の要件を満たしていると必ず許可されるというものではありません。
実際のビザの審査に当たっては、形式的に判断するのではなく、申請人や呼び寄せ側の状況を総合的に判断して決定されます。
ただし、上記のようにあくまで「人道上の理由から例外的に認められるビザ」のため、許可率は一般のビザと比べて、相当低いです。
老親扶養ビザが不許可になりやすい例
老親扶養ビザが不許可になりやすい例は、以下の通りです。一般に下記のような場合は、許可は難しくなります。
1.中国の親が70歳未満の場合
2.中国で収入や財産があり経済的に余裕がある場合
3.中国の片方の親(父または母)が元気で一方の介護能力がある場合
4.中国に実子がいる場合
老親扶養ビザが許可になる可能性がある例
①一般に、両親が健在の場合は許可を得るのは難しいです。ただし、ともに高齢の場合は、一緒に呼び寄せの可能性があります。
②中国では収入がなく貧しく生活が厳しい場合であっても、日本での扶養者・身元保証人がしっかりしている場合は、呼び寄せの可能性があります。
③70歳未満であっても、病気や障害がある場合は、人道上の理由から、呼び寄せができる可能性があります。
中国の親を呼び寄せるビザを申請する際の注意点
このビザは「告示外定住」というカテゴリーのビザですので、親を呼び寄せる目的での直接の在留資格認定証明書の交付申請はできません。
「老親扶養ビザ」を申請するためには、親族訪問目的の「短期滞在」ビザを取得し、来日後、地方入管局に「特定活動」(親の扶養目的)に在留資格変更許可申請を行ないます。
その際に、日本在留の必要性、生活の安定性等をどこまで具体的に立証できるかが許可不許可の分かれ目になります。
その後、法務大臣(地方入管局)が申請内容を総合的に判断し、認められると1年以内の範囲で長期在留が許可されます。また、在留期間の更新は可能です。
親を呼ぶには「高度人材ビザ申請」という方法もある
原則として現行制度では、就労を目的とする在留資格で在留する外国人の親の受入れは認められません。
また、上記のように、老親扶養ビザの難易度は高いです。
一方で、特定定動(高度人材)を取得されている方については一定の条件下にはなりますが、下記の目的、条件での入国・在留が認められています。
<目的>
・高度人材外国人又はその配偶者の7歳未満の子(※養子を含みます)を養育する場合
・高度人材外国人の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行う場合
<主な要件>
1. 高度人材外国人の世帯年収が800万円以上であること
(高度人材外国人本人とその配偶者の年収を合算したものをいいます)
2. 高度人材外国人と同居すること
3. 高度人材外国人又はその配偶者のどちらかの親に限ること
永住ビザや日本国籍の取得で親を呼べるか
その他、永住ビザや帰化申請による日本国籍の取得により、親を呼び寄せて、日本で一緒に暮らしたい、という相談もよくあります。
しかし、入管法上、帰化したり永住ビザを持っている場合であっても親を呼べるビザは条文上ありません。
ですから、日本人の配偶者ビザや就労ビザの中国人の方同様、人道上の特別な理由がないと、特定活動ビザは認められません。
また、日本国籍を取得したとしても同じです。
日本国籍の取得や永住ビザは日本への永住を前提としたものですが、それでも日本で親の扶養を行うことはハードルが高いとお考え下さい。
当事務所のサービス
当事務所では、中国の親を呼びたいという在日中国人の多くの要望に応え、老親扶養ビザの申請代行サービスを行っています。
難易度は高いですが、中国の親と日本でどうしても暮らしたい方は簡単に諦めず、まずは一度ご連絡ください。
<料金表(税別)>
①親の年齢が70歳以上の場合 | 200,000円 |
(着手金100,000円 + 成功報酬100,000円) | |
②親の年齢が69歳以下の場合 | 300,000円 |
(着手金100,000円 + 成功報酬200,000円) |
※ ①、②ともに、ご両親(父母2人)を申請する場合には、上記料金にプラス成功報酬50,000円となります。
※ 申請が不許可となった場合、成功報酬のお支払いは必要ありませんが、着手金の返金・減額等は致しかねます。また、当該ビザは人道上の理由から例外的に認められるビザですので、老親扶養ビザ(特定活動ビザ)不許可時の無料再申請は行っておりません。