Q.私は、日本に10年以上住んでいる中国人です。現在、永住権の申請を考えています。
最近、WECHATで日本永住申請の提出書類が厳しくなったと見ましたので、永住権の申請ができるか心配しています。
具体的にはどのように厳しくなったのでしょうか?
A.外国人の方がどうしても欲しいのが、日本の永住権です。
この永住申請の提出資料が2019年7月1日から厳しくなります。
内容は下記URLの通りです。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_EIJYU/zairyu_eijyu03.html
簡単に言うと、厳しくなったのは、納税関係と社会保険の納付状況についてです。
具体的には、課税・納税証明の範囲や期間が原則過去5年まで拡大し、年金・社会保険料の納付も過去2年間の状況が確認されます。
以前から税金の滞納については厳しかった入管も、社会保険の未納や国民健康保険への未加入についてはあまり厳しくない時代がありました。
しかし、近年、外国人は増加する一方です。
また、特定技能ビザの新設により、今後は外国人の流入が加速してきます。
ここで外国人の国民年金不加入問題に目をつぶれば、日本国民からの批判は避けられません。
そこで、近時年金・社会保険なども納税状況と同様、他の在留資格でも厳しく見るようになってきていることから、永住権の審査でもより厳しい基準となったと思われます。
具体的には以下のようになります。
①課税証明書・納税証明書について
所得及び納税状況を証明する資料としては、従来は例えば日本人の配偶者であれば最低限1年分の住民税の課税証明書・納税証明書で足りました。
しかし、今後は住民税の課税証明書・納税証明書等の納税証明は以下のようにより長期のものが必要になります。
a.日本人の配偶者、永住者の配偶者:直近3年分
b.就労ビザ、定住者ビザ、家族滞在ビザの外国人:直近5年分
さらに、源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3)が新たに求められます。
これにより、少なくとも事業をやっている方はかなり多くの書類が要求されます。
また、相続税や贈与税もとなると、かなり厳しい印象です。
個人の方も、過去5年以内に相続や贈与があった方は税務調査を受ける確率も高いので、追徴課税されないよう、しっかりと対策、納税しておく必要があります。
②公的年金及び公的医療保険の保険料について
納税に加え、社会保険もしっかり納付していないと永住権は不許可になります。
今後は、原則として、どの在留資格でも最低限直近2年分の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を示す書類の提出が求められます。
具体的な資料としては下記のものです。
・申請の直近2年間分のねんきん定期便のコピー・または、ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
就労ビザの外国人の方は、来日時に会社がちゃんと厚生年金や社会保険に入っていれば、自動的に天引きされ、納付していますので大きな問題はありません。上場企業にお勤めの方であれば、社会保険で問題になるケースは非常に少ないです。
しかし、就労ビザがあっても小さな会社で会社が厚生年金や社会保険に入っていなかったり、日本人の配偶者で社会保険の扶養家族に入っていなかったりすると、社会保険に未加入や未納となるケースが多々あります。
また、欧米の会社の場合、会社がそれなりの規模であっても、本国の保険会社に個人加入しているため、日本の社会保険には入らない、という人もいます。
確かに、今までは永住許可申請の際に、ケースによっては、入管もお目こぼししていた面はあります。
しかし、これからはそうはいきません。
今後の永住権申請を考えている方は、長期的な目線で、しっかりと納税し、社会保険を払っていく必要があります。
どうぞご注意ください。
なお、当事務所では中国人の方を中心に、外国人の永住権取得のサポートを行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。